HOKUSHU 株式会社 北洲 住み継がれて、風景になる。
北洲

環境先進国ドイツの取組みと日本の可能性

10月2日仙台会場、10月3日東京会場にて開催された国際講演「外断熱による地球温暖化防止と健康的な住まい」にてご講演された Andreas Kiesewetter(アンドレアス・キーセウェッター)博士。

氏は、環境先進国ドイツのアルセコ社で国際営業の責任者として世界を渡り歩いています。今回が2回目の来仙である氏に、ハードスケジュールの中の短い時間ではありましたが、村上がドイツの環境への最新取組状況や外断熱工法について伺いました。

対談風景
開催日:2008年10月1日(水)
開催地:北洲プラザ
対談者:
ドイツ・アルセコ社海外活動最高責任者
Andreas Kiesewetter(アンドレアス・キーセウェッター)博士(写真右)
バウハウスワイマール大学にてエンジニアリングを専攻、博士号を取得。エンジニアリング事務所、YTONGホールディングAGの技術応用責任者、商品管理と営業サポートの責任者、ビジネス開発の責任者を経て、アルセコ社国外活動の責任者に就任。
(株)北洲 代表取締役社長
村上 ひろみ(写真左)
通訳:(株)北洲スカンジナビアオフィススタッフ
クリスチャン・エリクセン

村上:アルセコ社は、ドイツではトップランクの外断熱メーカーですが、その近況を教えて頂けますか。

Dr.キーセウェッター(以下 Dr.キース):2007年は、これまでのアルセコ社の歴史の中でも非常に良い年だったと言えるでしょう。2008年は、概ね計画通りに進んでいます。

ドイツ国内では、石油価格の値上がりもあり、外断熱の新築やリフォームがどんどん普及しています。大企業のマンションやビルの断熱改修は、現在の金融不安の影響か、来年まで計画を見合わせているところが多いのですが。

私はアルセコ社の国外活動全般をみていますが、ブルガリア、ポルトガル、カザフスタン等、国により状況は様々です。全体としては満足しています。

村上:金融危機の影響は心配されますね。さて、ここでアルセコ社がどれだけの規模の会社であるかを日本の方が分かりやすいようにご説明いただけますか。

Dr.キース:昨年は、ドイツだけで400万m2を施工しました。1棟当たり約200m2とすると、2万棟を施工したことになります。これはドイツ国内では第2位で、約10%のシェアを持っていることになります。グループ企業を含めると約30%ですので、今後もこのシェアを継続していきたいと思います。

村上:素晴らしい実績ですね。日本でも築年数を経たRC造マンションの建替えの問題等がありますので、建物自体の耐久年数を上げるためにも、環境負荷を減らすためにも、外断熱は普及すべきだと思います。

ところで、ドイツは環境先進国と言われていますが、一般の人々の暮らしにはどのようなことが起きていますか。

Dr.キース:ドイツでは政府が定める規制があり、二酸化炭素の削減、エネルギー使用の削減、環境汚染の防止に国を挙げて取り組んでいます。例えば、断熱材の厚さ、窓の断熱性能などの最低基準を定めているのです。そのほかにも、CO2削減応援プログラムがあり、改修工事の為の低金利ローンや地域ごとのエネルギー相談室、公共建築物の断熱改修計画などの取り組みも盛んです。

ドイツでは、原子力発電や化石燃料による発電よりも風力、地熱、太陽光、バイオマスといったグリーンエネルギーが重要視されています。しかし、グリーンエネルギーだけでは全てまかないきれません。そこで、エネルギーの使用を減らすという選択肢に辿り着きますが、それは自動車だけでなく、住宅や産業も同じなのです。

価格の上昇も、エネルギー使用の節約に繋がっています。ガス供給会社の半分以上は今年中に30%の値上げをすることが予測されます。

個人で出来ることは、自家用車と住まいの省エネですので、住宅の性能を上げるため、外断熱を施工するのです。

村上:環境負荷の削減はもちろん、経済的な側面からも断熱改修や新築を考えられるわけですね。

Dr.キース:その通りです。

先ほども申し上げましたが、一般のお客様の需要は増えています。そして、金融不安が収まれば、企業の需要も元に戻るのではないかと考えています。

村上:アルセコ社では、一般のお客様に対して、アルセコ外断熱にすることでどれだけメリットがあるのかを数値などで訴えているのですか。

Dr.キース:ドイツでは家電と同じ様に、家の新築、改築、売却、賃貸を行う際には、エネルギーパス※1を必ず発行しなければならないのです。

アルセコ社としては、どれだけ断熱すればどれだけ節約できるのか、計算ソフトを使用しお客様にお見せしています。また、初期投資に対して何年後にペイできるかも計算します。

しかしながら、ドイツではそこまでお客様を納得させる必要はありません。というのは、国民が外断熱の良さを十分承知していますので、予算に余裕があれば、外断熱に投資するのです。

村上:日本も早くそうなるといいですね。

Dr.キース:日本でも順調にスタートしたと思います。

村上:日本でもガソリンの値上がりで消費者が自家用車を控えた時期がありました。それによってCO2の排出量は減りましたが…。

電気代やガス代が値上がりする事によって、日本人の意識が変わるかどうかですね。ドイツでもそのような事はあったのでしょうか?

Dr.キース:ドイツでもそういった現象は起こっていますよ。

村上:では、キーセウェッターさんのアウディは大変ですね(笑)。

Dr.キース:車は大きいですが、エンジンはディーゼルですし、100Kmで6リットルしか使わないですよ(笑)。

村上:省エネルギーですね(笑)。

ドイツ人の家に対する考え方を伺いたいのですが、ドイツ人は家にたいしてどういう思いを抱いているのでしょうか。

Dr.キース:ドイツでは10年、20年で壊してしまうような家は作りません。ドイツ人は、自分の為ではなく、自分の子供のため、孫のために家を建てます。

ドイツではこう言う人もいます。「男は人生の中で、1回は家を建て、1回は木を植えて育て、子供を作らなければならない。」

その為には長く保つ家を作らなくてはいけませんよね。

家を建てるなら素材にこだわり、長く住める耐久性の高い材料を使って建てたいものです。

村上:当社は時を経ても美しく、省エネルギーな本物の住まいづくりをしていきたいと思っているのですが、そのようなドイツの考え方や方法をぜひ組み入れながら商品開発ができればと思います。

最後に、日本は2回目とのことですが、日本についての印象はいかがでしょうか?また、何か食べてみたいものはありますか。

Dr.キース:日本が大好きです。日本料理は完璧です。

また、北洲も大好きです。雰囲気や、対応も、村上社長も好きです。

わたしは北洲ファンです(笑)。

注1)エネルギーパス … EUが義務化した建物のエネルギー効率の状況を示す証明書。