世界中から優れた商品を見つけ出し、新しい住まいの文化を発信したい

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豊かな暮らしを支える人たちのストーリーをお届けします。
私たちの家づくりや商品開発の裏側には、
情熱を注ぐ人々の存在があります。
ここでは、暮らしを豊かにする「人」に焦点を当て、
その価値観やこだわりをご紹介します。
さあ、私たちの世界へ一緒に潜りましょう。

勝又さん
建設・資材事業部 東京支店 副支店長

・2000年新卒入社
・建設・資材事業部仙台支店で資材仕入れ、輸入業務、営業を担当し、2009年4月より東京支店勤務
・2級施工管理技士

 建設・資材事業部の一員として、入社以来、高耐久、高性能な建材を国内外で探し求めている勝又さん。施工性、高耐久性に優れた床材の輸入に一貫して携わり、高性能な床の普及に奔走している経験を通して、日本の新たな住まい文化を発信する挑戦について語りました。

ペルゴフロアにほれ込み自宅の床に使用
高性能の実感を営業に活かす

 まずは、私自身がほれ込み、導入から一貫して携わっている「ペルゴフロア」についてご紹介したいと思います。世界最大手の床材メーカー・モホークグループでフローリング部門を担うユニリン社(本社・ベルギー)製の高耐久・高性能の床材です。北洲はユニリン社とパートナーシップを締結し、日本総代理店として2016年3月からペルゴフロアを販売しています。

 欧州を中心に普及しているペルゴフロアは、傷つきにくく、耐摩耗性、耐衝撃性が高いラミネートフロアで、国際特許を取得した特殊なサネを持ち、ノリやクギを使わずにはめ込むだけの簡易な「フローティング工法」(置き敷き工法)により施工性、更新性に優れた特長を有します。

 私はペルゴフロアを使用した住まいで14年近く家族と暮らしていますが、住み始めた当初と変わらぬ美しさを保ち、傷や汚れ、へこみ、色あせといったよくある床の悩みから解放されて、床に対するストレスのない生活を送ることができています。こうした実感を営業面にも活かしながら、ペルゴフロアという優れた商材への誇りを持ち、一人でも多くのお客様に広げたいとの想いで日々仕事に取り組んでいます。

PERGO -ぺルゴフロア-

北洲が直輸入する強くて美しい床材『PERGO』(ぺルゴフロア)

『PERGO JAPAN』公式ホームページはこちら

施工性に優れたフローティング工法との出合い
「日本でも普及させたい!」と先駆けて導入

2023年にベルギー大使館で開催したレセプションの様子

 私がフローティング工法に出合ったきっかけは2000年代前半にさかのぼります。

当時はスクラップ&ビルドが盛んに行われた時代でしたが、北洲は「時を経て、なお美しい」高耐久・高性能の建物づくりに取り組み、建材部門はそれにふさわしい高耐久・高性能の建材を追い求めてきました。

 この時期、日本では建材や家具などに使われる化学物質が原因とされるシックハウス症候群が社会問題になったことを受けて2003年に建築基準法が改正され、ホルムアルデヒド対策の等級が変わり、最高等級としてホルムアルデヒドの発散量が極めて少ないF☆☆☆☆(Fフォースター)が新設されました。これは世界で最も厳しい基準で、対応できる床材メーカーを探すのは至難の業でした。

 しかし、私は「あきらめることなく、対応できる海外メーカーを見つけられればチャンスになる」と考え、優れた床材を探し求めました。海外からの参入が少ないほど、そこに商機が生まれます。

 そうした中で、2005年、施工性に優れ、下地に固定しないため建物の構造を傷めないフローティング工法に出合いました。「これを日本でも普及させたい」。そんな想いから、フローティング工法が可能で、かつ当時の日本ではほとんど取り扱いがなかった高耐久性のラミネートフロアの販売を始めました。それがペルゴフロア以前に取り扱っていたイノヴァーフロアです。

 ようやくフローティング工法についての情報が日本に入り始めたばかりの時期でした。他社との差別化が図れる上に、以前から取り扱っていた無垢の床材に比べて価格が手ごろで市場に切り込める可能性を持つ商品でした。実際、興味を示すお客様が多く、ご提案すればするほど売り上げを増やすことができ、結果として建設・資材事業部が東京に拠点を構えることにもつながりました。

活かされた欧州訪問の経験
高耐久なフローリングが日本の床の概念を変える

 床には国や地域の生活文化や自然環境が大きく反映されています。海外の多くの国では土足文化のため、床に求められる性能が非常に高いのに対し、靴を脱いで室内に入る日本は、豊かな森林環境を背景に無垢材をふんだんに使い、見た目や色合い、天然木へのこだわりなどが特徴です。

 それだけに海外の床と比べたとき、日本の床の脆弱性が際立ちます。物を落とせば床が傷つくし、汚れたりメンテナンスが必要になったりするという私たちの常識は、実は当たり前ではなかったのです。これはフローリングに対する概念の変化をもたらします。私はそこに商売のチャンスを見いだしました。

 先ほどご紹介したように、他社に先駆けて施工性・更新性に優れた高耐久の床材に注目し、取り扱うことができたのは、片方厚夫会長(当時)と牧子芳正顧問(当時)と一緒にフィンランドやスロベニアをまわった経験が活かされていると思います。当時の私は輸入の仕入れ担当として本社の柱や梁の集成材などに携わっていたため同行の機会が得られ、視野を広げて物事を見る大切さを身に染みて経験することができました。海外での床材との出合いでも、それが発揮されたと思います。

正しい施工がペルゴフロア普及への鍵
自ら資格を取得し、技術と知識を伝授

 2015年、ベルギーのユニリン本社を訪問してペルゴフロアをこの目で確かめ、2016年3月に販売を開始しました。

 ペルゴフロアは簡易なフローティング工法で設置できますが、従来の日本の床工法とは施工方法が異なるため、注意点を守り正しい施工をしないと、床の盛り上がりやすきまなどの問題が生じかねません。一方で、初めてペルゴフロアを施工する職人様が、従来の施工方法との違いを嫌がる傾向も見られました。

 フローティング工法を普及するには、こうした課題をクリアしなければなりません。そのためには、現場に出向いて施工指導に立ち会ったり、施工研修会を開催したりするなどの丁寧な対応が必要です。まずは私自身が必要な技術と知識を身に付けなければと考え、2018年にユニリン社の施工技術アカデミーが認定するマイスター資格を取得しました。世界中から職人が同社に集まり、約1週間かけて施工技術や知識についてレクチャーを受けます。試験は合格率15%という狭き門。マイスターが施工した物件はユニリン社が保証するので厳しいのも当然です。

 マイスター資格取得後、私は早速、営業と同時に施工指導に取り組みました。2019年には、北洲独自の取り組みとして販売・施工代理店向けのペルゴアカデミーを東京、大阪、仙台、盛岡、北上などで開催。丸一日かけて座学と実技研修を行って技術と知識のレベルアップを図り、最後に受講証を発行するという内容です。

 その効果は着実に表れています。販売開始当初の10分の1以下にまでクレームが激減。フローティング工法を広めたいとの強い想いからの行動が実を結びつつあると感じます。

4年に一度の国際スポーツイベントにペルゴフロアが採用!
強固な信頼築いた取引先企業とスクラム組み実現

 ペルゴフロアの販売開始以来、最もうれしかった出来事は、2021年に東京で開催された4年に一度の国際スポーツイベントに際し、選手宿泊施設の建物の床にペルゴフロアが採用されたことです。開催に間に合うようスピーディーな施工性、使用後は下地を傷めず速やかにはがせる更新性、土足に対応した高耐久性と、求められることのすべてにペルゴフロアは合致していました。お取引先企業とのご縁が新たなご縁を生み、たくさんの方々のご支援のおかげで、採用を勝ち取ることができました。

 約2年にわたる活動で成果を出すことができ、喜びもひとしおです。実は、力を合わせて取り組んだ業者様とは、施工に関するクレームの解決に正面から向き合う中でお互いに信頼関係を深めた間柄。いわばマイナスからのスタートだったのを、プラスの関係に転じさせることができました。ペルゴフロアの販売と施工方法の普及を通じて、さまざまな立場の方と築いてきた信頼関係が自分の成長にもつながっていると実感しています。

ペルゴに続く優れた商品を世界中から見つけ出し
新しい住まいの文化を北洲から発信したい

 ラミネートフロアのシェアは、欧州で5割近くに達し、伝統的な床暖房「オンドル」が普及する韓国では9割近くにのぼります。 しかし、日本ではまだ0.3%しかありません。市場認知度はまだまだで、ようやく富士山の2合目にたどり着いたばかりという状況です。

 しかし、ユーザー様などからペルゴフロアに対する想いに共感していただき、性能の高さへの喜びのお声を伺ったうれしさに背中を押され、徐々に販売のフィールドを広げることができてきました。

 床材に限らず、優れた性能を持つ素材は世の中にまだまだたくさんあると思います。国内外に積極的に足を運んでそうした商品を見つけ出し、日本にはなかったものをお届けしたい。新しい日本の住まい文化を北洲から発信できるよう、挑戦を続けていきます。